一時保護を解除する方法

拒否や反論はせず質問をして保留する


 ここまで「児相職員と敵対しない」ということを前提にしてきました。児相職員からまともな指導があり、その指導に従って一時保護が解除されれば、成功です。

 しかし児相職員の指導には「常識的に考えてこの指導はおかしい」と感じるものも少なくありません。受け入れることが困難な指導をされることもあります。指導に従わなければ子供は帰ってこない、しかし従うことが難しい指導をされた・・そういう状況になったら、いっそう慎重に落ち着いて対応しなければなりません。ここから先は、指導に従って一時保護を解除する道を探りながら、並行して児童相談所と闘う準備も進めることになります。

指導を拒否しない
 まず第一に、指導を明確に拒否しないことです。その場では受け入れられないと感じても、その場で拒否せず、保留にします。その指導を選択肢の1つとして残すことで、児童相談所に施設入所等の判断をさせず、時間を得ることができます。

 その場で拒否してしまうと、児童相談所の判断が確定して、施設入所等に一気に進んでしまう可能性があります。


指導に反論をしない
 児相職員の指導に対して、反論するのは得策とは言えません。反論をするとついヒートアップしがちですし、児相職員に「保護者は指導に拒否的だった」等と記録され、一時保護解除が遠のいてしまう可能性があります。あるいは事実上「指導を拒否した」と判断されて施設入所等に進んでしまう可能性があります。

 後述するように、「反論」ではなく、「質問」をする方が安全です。


指導について質問をする
 児相職員の指導に対して、拒否も反論もせずに、「それは〜のためでしょうか?」「それをした結果〜のようになったら、次はどうしたらいいですか?」など、指導の内容や目的、その後の対応方法等について質問して、指導内容をできるだけ詳しく聞き出します。その質問への児相職員からの回答についても、拒否や反論はせずに、不明点は質問をするようにします。

 自分の考えを聞かれたら「まずちゃんと理解したいので質問させてください」等と言って回答は保留します。できるだけ、指導を拒否しているような雰囲気を出さないように注意します。

 「それはしっかり検討しますが、ほかの方法はありませんか?」と、他の選択肢がないか聞いてみるのは問題ありません。

 とにかく指導を拒否せずに、質問ベースで対話を続けることです。児童相談所に、子供を家庭には戻さず施設入所させる、と判断させる根拠となるようなものを与えないようにします。


指導された証拠を押さえる
 1つ重要なポイントがあります。

 「〜した方がいい、ということでしょうか?」「〜しない方がいい、ということでしょうか?」のような質問をして、指導された証拠を押さえることです。

 「〜した方がいい」というのは「作為(なにかをすること)を求める助言」、「〜しない方がいい」というのは「不作為(なにかをしないこと)を求める助言」となります。これらは「行政指導」です(行政手続法2条6号)。

 児相職員は、自分の乏しい経験や知識に基づいて、上司等に相談せずに独断で不当な指導を行っていることがあります。その場合、その指導について児相職員はあとで「そんな指導はしていません」と嘘をつく可能性が高いのです。あとで指導内容について争うことになったときのために、指導をされた証拠を確保してください。


指導を保留する
 児相職員からの受け入れがたい指導について、質問ベースでできるかぎりの情報を聞き出したら、最終的には「いただいた指導について、しっかり考えて、しっかり理解したいので、考える時間をください」等と答えて、保留にしておきます。

 そして自宅に帰って十分に検討します。子供を救出するために我慢できるなら、我慢して指導に従います。しかしどうしてもその指導に従うことはできないと考えたなら、一時保護の解除が遠のくリスクを負って、その指導に従わずに一時保護を解除する方法を探すことになります。その場合については、別途説明します。


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