児相職員と敵対せずに極力指導に従う
子供が一時保護になると、児童相談所は保護者と面接を行います。(児童相談所では、児相職員と保護者の面談を「面接」、保護者と子供の面談を「面会」といいます。)
▶ 「一時保護を解除する方法」に戻ります。
▶ このページに対するご意見・ご感想・ご指摘等をこちらからお寄せください。
一時保護を迅速に解除して子供を家庭に戻すには、保護者は児相職員と敵対することを避けて、児相職員の指導に極力従う必要があります。子供を施設入所させるなどの絶対に同意できない指導を除き、極力、児相職員の指導には従うようにします。
※ | このページでは子供を家庭に戻すことを最優先にしています。 児相職員の指導に従わなければ子供が帰ってこないという現在の運用を肯定するものではありません。 |
※ | 「児相職員の指導に従う」といっても「していない行為そのもの」を「した」と認める必要はありません。 ただし「した行為」を「それは虐待だった」と認めることは子供の家庭復帰のために重要です。 |
※ | 子供の施設入所への同意を求められた場合、同意するのはメリットとデメリットがあるため、慎重な判断が必要です。 |
一時保護後の4つのパターン、目指すパターン
一時保護後、児相職員と敵対するか否か、一時保護が解除されるか否かで次の4パターンに分かれます。
児相職員と敵対しないパターン(①と②)では一時保護が解除される方(①)が多くなります。児相職員と敵対するパターン(③と④)では一時保護が解除されない方(④)が多くなります。児相職員と敵対しなければ必ず一時保護が解除されるというわけではありませんが(②のパターンもあり得る)、敵対した場合、一時保護が解除されないパターン(④)に陥る可能性が高いことを忘れてはいけません。
子供を救出するならば上記の①のパターンを目指すのが基本です。上記の③のパターンで子供を救出するのは、①のパターンよりも困難です。そのため、まず①で子供の救出を目指し、それができなかった場合に限り③を目指します。
児相職員と敵対してはいけない理由
理由① 児童相談所が強力な権限を持っていること
児相職員は、一時保護の開始、延長、終了(措置せずに一時保護を解除するか、措置をするか)のすべての決定について、強力な権限を持っています。児相職員と敵対すると、保護者に不利な決定をされる可能性が極めて高くなります。
※「児童相談所の強大な権限について」ページを参照してください。
※「保護者がとれる「2つの方法」…「児童相談所の怖い話」より」ページを参照してください。
理由②「家庭復帰の適否を判断するためのチェックリスト」をクリアする必要があること
※「児童相談所の強大な権限について」ページを参照してください。
※「保護者がとれる「2つの方法」…「児童相談所の怖い話」より」ページを参照してください。
一時保護を解除するには「家庭復帰の適否を判断するためのチェックリスト」をクリアしなければなりません。児相職員が保護者に指導をするのは基本的にチェックリストをクリアするのが目的です。児相職員と敵対し指導を拒むと、チェックリストが「いいえ」となり一時保護の解除が遠のきます。特に「保護者が児童相談所と良好な相談関係を持てる」というチェック項目が「いいえ」になることで保護者が不利になります。(チェックリストに関係がない指導、従うと逆に一時保護の解除が遠のくような指導は、必ずしも従う必要がありません。)
※「「家庭復帰の適否を判断するためのチェックリスト」について」ページを参照してください。
理由③ 一時保護後の措置は保護者が指導に従うことが前提になっていること
※「「家庭復帰の適否を判断するためのチェックリスト」について」ページを参照してください。
一時保護のあと児童相談所は、なにも措置せずに一時保護を解除するか、または、①1号措置(誓約書を書かせる)、②2号措置(通所させ指導する)、③3号措置(施設入所または里親委託)、の3つの措置のいずれかを行います。このうち①(誓約書)と②(通所指導)は保護者が児相職員の指導に従うことが前提となっています。保護者が児相職員と敵対して指導に従わない場合、①と②が選択肢から外され、③(施設入所)となる可能性が高くなります。
※「児童相談所の強大な権限について」ページの「一時保護後の措置について」を参照してください。
理由④ 指導に従わないことを理由に「虐待のおそれがある」とされること
※「児童相談所の強大な権限について」ページの「一時保護後の措置について」を参照してください。
児童相談所から保護者への指導は虐待を防ぐために行われている(という建前になっている)ため、保護者が児相職員と敵対して指導に従わないと、児童相談所はそれを根拠に「虐待のおそれがある」と判断します。特に「保護者による虐待が原因で一時保護した」と児童相談所が考えている状況では、「保護者が指導に従わない」という事実だけで「今後も虐待のおそれがあるから子供を家庭に戻さない」と判断されることになります。児童相談所は「虐待のおそれ」だけで子供を施設に入所させてしまうことを忘れてはいけません。
理由⑤ 家庭裁判所も保護者に対し児童相談所の助言指導に従うことを求めること
児童相談所が保護者の意思に反して子供を施設入所させるとき、家庭裁判所で審判(28条審判)が行われます。その28条審判で、児童相談所が「保護者が指導に従わないため虐待のおそれがあり、子供を家庭に戻せない」と主張したとき、家庭裁判所がそれを否定して「保護者が児童相談所の指導に従わなくても虐待のおそれはなく、子供を家庭に戻せる」と判断することはほとんど期待できません。家庭裁判所が、子供を家庭に戻す条件として、保護者に児童相談所からの助言指導に従うことを求めることもあります。
以上のとおり、児相職員と敵対して指導を拒否した場合、一時保護の解除が遠のいてしまいます。児相職員からの指導は、どうしても受け入れることが難しい場合は別として、できるかぎり従うことで、一時保護の解除が近づきます。子供の救出のために、耐えるしかありません。面接の時に取るべき態度
児相職員との面接は落ち着いて対応することが求められます。例えば次のような態度が望ましいと考えられます。
- 挨拶等、社会人としての通常のマナーを守る。
- 児相職員の話を遮らずに、最後まで聞く。
- 児相職員の発言や指導内容をメモする。(指導に従う態度を見せる。)
- 児相職員の話に反論しない。(納得できなくても「反論」はせず「質問」をする。別途説明します)
- 落ち着いて話をする。大きな声を出さない、威圧的な話し方をしない、等。
逆に担当となった児相職員がこれらを守れない人間である可能性もあります。児相職員の不遜な態度が目に余るようであれば、それは指摘しても構いません。大切なのは保護者側が落ち着いて対応することです。
原則として児相と敵対しなければ子供は帰ってきます
児相職員と敵対せずに「家庭復帰の適否を判断するためのチェックリスト」をクリアすれば一時保護は解除されます。チェックリストをクリアするために、保護者が児相と敵対しないでいられるかは、重要なポイントです。児相職員は、そこを見ています(そこをチェックして採点し記録に残します)。「一時保護中も、自宅に戻った後も、児相とは敵対せずに指導に従う」ということを児相職員に伝えると、一時保護は確実に解除に近づきます。
児相職員は保護者との面接で「子供を帰さない理由」を探しているのだ、と考えます。児相職員に「子供を帰さない理由」を与えないことです。児相と敵対すると、そのことが「子供を返さない理由」にされてしまいますので、敵対は避けるべきなのです。
一時保護が長引く場合…
▶ 「一時保護を解除する方法」に戻ります。
▶ このページに対するご意見・ご感想・ご指摘等をこちらからお寄せください。